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「澤井医師の学会放浪記2007」

日本臨床眼科学会は、日本眼科学会総会(基礎研究が中心)と並んで眼科のメジャーであります。
国内でも最大規模となった本学会では、全国から多くの眼科医、研究者が参加していました。以前はマイナーだった屈折矯正手術の発表も徐々に増えて、活発な意見交換が行われました。

発表演題: レーシック(LASIK)におけるフリーフラップの対処方法
レーシック(LASIK)のフラップ作成時、マイクロケラトームによる合併症としてフラップが完全に角膜から分離された症例(フリーフラップ)についてポスター発表を行いました。術中の対処方法は、自前のメディアプレイヤー(iPod)で供覧しました。
これまで、フリーフラップになったらエキシマレーザーを使用せずにフラップを閉じた後、数か月角膜の形状が安定してから表面照射をと教わりました。今回の症例は、フリーフラップになっても(フラップの状態にもよりますが)、位置さえ把握してフラップを元に戻せば、そのままレーザー照射しても問題がなかったケースを経験し、その術式と経過について報告しました。

ポスター講演会場で知人と

左図の角膜トポグラフィーように、手術後の時間経過とともに視力と照射域の形状が徐々に回復しています。
ポスターを用いた発表で、iPodを用いて実際のオペレーションの様子を流していたのは、本学会においてはおそらく神戸クリニックが始めての試みだと思います。
海外の学会の多くは、electronicポスターが主流です。日本の学術展示では1枚の大きい紙に印刷して発表しています。

※現在、神戸クリニックではコンピューター制御により正確なフラップを作成できる最新のイントラレース(intraLase)を導入して手術を行っていますので、手術中にフリーフラップが起こることはありません。

ヨーロッパ白内障屈折矯正手術学会ESCRSは角膜・水晶体の手術が中心となる学会で、自分にとってレーシック(LASIK)の最先端の勉強する場と思います。 2007年の9月の学会は、スウェーデンの首都、ストックホルムで開催されました。

発表演題: How to deal with EPI-Flap when doing enhancement after EPI-LASIK?
エピレーシック(EPI-LASIK)の再手術は、エピケラトームを再使用できないのでこれまでPTKレーザーで角膜上皮を剥離するか、アルコールを使うか(LASEK) で行われてきました。より安全で正確な結果が得られる再手術の方法について報告してきました。
上皮を除去するのに使用する器具

(左)MQA、(右)ゴルフ刀。

Moria社(フランス)の展示ブース
この発表はE-Posterでの報告以外に、マイクロケラトームの最大手であるMoria社(フランス)の展示ブースでも発表をしました。またちょうどこの時期は表面照射の重要性について見直されたときでもあって、多数のエピレーシック(EPI-LASIK)について海外の意見もありました。大変有意義な学会となりました。
ストックホルムの風景

写真左)誰しも一度は目にしたことがある【考える人】のストックホルム版
※作者のロダン(オーギュスト=ルネ・ロダン)はフランス人です。
写真中、右)ストックホルムは、スウェーデンの首都で、美しくて活気があり、港町と国際都市の香りが漂う都市です。ご覧のように、いたるところに絵になるような風景があります。
これも芸術!?ストックホルムの街中で見かけた面白い芸術品

写真左)ハンガーでできたオブジェ
沢山のハンガーが逆さまに吊るされています。
写真右)洋品店のウィンドウ
なんと、ワニとカッパのマネキンがおしゃれなスーツを着て新聞を読んでいます。新聞記事の写真もカッパさんです。
日本ではあまり見かけない光景です。ちなみにスウェーデン語でもカッパは「Kappa」だそうです。
スウェーデンといえば、ノーベル賞

スウェーデンと言えば、ノーベル賞の授賞式が行われる町です・・・ということで、ノーベル博物館行ってきました!
ガムラスタンの大広場にあるNobel Museumはノーベル賞関係の展示品がある博物館。歴代受賞者に関するビデオや写真の数々が展示がされています。
頑張れニッポン

国際屈折矯正手術学会ISRSは2007年5月25日、天安門がある中国・北京で開催されました。アメリカ、ヨーロッパ、インドなどと海外から多くの屈折矯正に関わるエキスパート眼科医が参加し、活発な質疑応答が行われました。
エピレーシック(EPI-LASIK)手術後に生じうるヘイズ(角膜上皮下の混濁)に対する術中のマイトマイシンC(MMC)の効果についてポスター発表しました。

北京天安門
内容は、2007 ESCRS Winterでの演題と同じですので、こちらをご覧ください。

今回のポスター発表は紙に印刷して会場で張り出すのではなく、すべて、 e-posterと言って会場のキヨスクにPCが並んでおり、参加者は発表の時間を気にせず見たい演題をじっくり見ることができる形式になっています。質問があれば発表者にメールが送れたり、WEB上でディスカッションしたり、興味のあるポスターは自由にプリントアウトできたりするところもあります。早く日本でも導入してほしいお利口なシステムです。




白内障手術、屈折矯正、老眼矯正、緑内障手術などの分野では世界最大の眼科学会ASCRSです。2007年はアメリカ・サンディエゴで開催されました。サンディエゴは、カリフォルニア州でロサンゼルスに次ぐ第2の都市で、過ごし易い気候、海あり・山あり・砂漠ありの豊かな自然、それを生かした様々なレジャー、大都市としての利便性など、人々を様々な観点からひきつけてやまない魅力があります。

サンディエゴと言えば、映画「トップガン」の舞台にもなったように、港や海軍の基地がたくさんあります。
質問:上の写真は何だかわかりますか?あるいはみなさんは何に見えますか?
ヒント:場所は空母ミッドウエイです。
発表演題: Early-Onset Astigmatism After EPI-LASIK Without Epithelial Flap Replacement
強度近視、角膜の形状と厚さなどの理由で他院で手術不可と言われた多くの患者が当院ではエピレーシック(EPI-LASIK)を受けています。(実は日本一の症例数らしい)手術後に予想より視力向上が遅いケースもあるので、これについての原因検索をしました。そのなかで角膜トポグラフィーで直乱視が指摘された症例(10眼)は正常(858眼)を比較しました。両群とも球面成分において同じ傾向の推移が見られましたが、乱視の指標となる円柱成分については、2か月後まで乱視の残存が有意差として認められます(下グラフ参照)。


この理由として、 エピレーシック(EPI-LASIK)後に角膜上皮の再生が不可欠ですが、個人差でなかなか上皮が元に戻らないことがあります。できるだけ早期の視力向上を期待して手術を受けた方に対して我々は治癒過程を促進する意味で、様々な点眼の強化を用いて眼表面(オキュラーサーフェス)の改善ができるように工夫しています。
サンティエゴの写真


写真左)サンディエゴの空母のなかのオペ室
(私にとっては見慣れた光景ですが、実はこのオペ室、執刀も助手も臘人形でできています!手術器具は金属ですが、、)
写真右)子供の頭くらいあるオニオンリング!食べられちゃいそうです。

第31回目となる角膜カンファランスが、宮崎県のワールドコンベンションセンターサミットで開催されました。

発表演題:エピレーシック(EPI-LASIK)で生じた実質穿孔例
エピレーシック(EPI-LASIK)における術中合併症であるエピケラトームによる角膜実質の穿孔率について、症例の検討および対処方法について報告してきました。
エピレーシック(EPI-LASIK)で上皮フラップ作成時に、ごく低い割合(0.14%)で角膜実質に穿孔を認めることがあります。
◎合併症例の5眼とも術前の検査データから異常を示す値や所見はありませんでした。
◎術中の判断および追加した術式および再手術の時期などについて言及しました。
エピレーシック(EPI-LASIK)の工程
- 吸引リングを角膜周囲に密着させ、吸引圧が一定になるまで眼球を保持します。
- 上皮フラップ作成。先端にあるエピケラトームが上皮細胞の基底膜~ボーマン膜を鈍的に剥離していきます。
- 通常の上皮剥離であれば、右図のように光沢のあるボーマン膜の面が露出します。
- エキシマレーザーを照射します。

通常エピケラトーム操作後は光沢のある表面
シェーマのように穿孔を合併した症例は、凹みのあるエリアを認めます。

穿孔例のシェーマ
余談

実はポスター発表の直前まで、大学の後輩たちと初めてのローラーブレードを会場近くの公園でやっていました、、、肘・膝・ヘルメット・尻パットとフル装備で臨みましたが、やはり転んでばかりで体中が痛かったです。
痛い思いをしながらも、しっかり学会してきました!コレ本当です。

ESCRSはヨーロッパの白内障屈折矯正手術学会です。ここでレーシック(LASIK)分野の最先端の知識と情報が得られます。ESCRSは、2月と9月の年2回開催されますが、2007年のWinter Seminarはパルテノン神殿で有名なギリシャの首都アテネで開催されました。小生初の屈折矯正術の発表となりました。

発表演題:The Efficacy Mitomycin-c(MMC)in Preventing corneal haze after EPI-LASIK
エピレーシック(EPI-LASIK)手術後に稀に合併症として起こるヘイズ(角膜上皮下の混濁)に対するマイトマイシンC(MMC)の効果について発表しました。
| ヘイズ(+) | ヘイズによる近視戻り | 眼数 | |
| MMC(+) | 1.83% | 1.83% | 109 |
| MMC( - ) | 7.98% | 2.13% | 188 |
術中に一時的にMMCを塗布した場合(+群)と、塗布しない(-群)では、表のように、手術後にヘイズを発症する確率が低いことがわかりました。当院では、エピレーシック(EPI-LASIK)の術中にMMCを用いることで、この合併症の発生率を最小限にコントロールしています。



写真上)「レーシック(LASIK)の父」パリカリス博士と。
屈折矯正手術には長い歴史がありますが、RKやピーアールケー(PRK)など歴代の手術方法のデメリットを改善し、はるかに早い視力回復で効果的な施術法として誕生したのがレーシック(LASIK)です。そのレーシック(LASIK)を考案したのが、こちらのパリカリス博士です!
パリカリス博士は、ギリシャにあるクレタ大学の学長を務め、クレタ大学医学部眼科学の教授でもあります。研究分野は、屈折矯正手術、眼光学、医療レーザー、フォトダイナミックセラピー、バイオポリマー、イメージ解析、微細医療手術用具のデザイン・開発など多岐に及びます。 世界のレーシック(LASIK)に携わっている多くの医師に影響を与えた偉大な博士です。
写真中)聖なる神々の丘 アクロポリスにそびえ建つパルテノン神殿です。
パルテノン神殿は紀元前438年に完成したもの。実は目の錯覚による効果を上手く取り入れて作られたことでも有名です。
例えば建物の安定感を出すために柱は全て内側に傾斜、床も真ん中を少し高くしたり、四角の柱は光の加減で細く見えるのを防ぐため他の柱より少し太めに作られています。そんな大昔に視覚を取り入れた建築物を作った建築家、素晴らしいです。
写真下)パルテノン神殿は、夜になるとこんな風に黄金のようにライトアップされ、アテネ市内を照らします。
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