澤井医師の学会放浪記

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「澤井医師の学会放浪記2009」

フィヨドロフ眼研究所 総会 /2009年11月8日~17日 ロシア・モスクワ

今回は近視矯正手術の発祥の地とも言えるフィヨドロフ眼研究所を訪れ、屈折矯正手術の歴史および今後の可能性を探る旅になりました。

レーシック(LASIK)手術が確立されるまでの歴史を振り返ると、1968年に旧ソ連の眼科医フィヨドロフ博士が交通事故で角膜に傷を負った少年(元々近視だった)に対して治療を行いました。

角膜の回復と共に近視がなくなった事実がヒントとなり、角膜を切開すれば近視矯正が可能なことを発見しました。この画期的な近視矯正手術の成功は全世界の眼科医に衝撃を与え、アメリカを中心に急速に普及しました。その後、科学の進歩とともに手術方法に改良が繰り返され、今日の角膜にフラップを作りエキシマレーザーを当てるレーシック(LASIK)が確立されました。

フィヨドロフ博士
写真の右側の方が、フィヨドロフ博士
(提供:フィヨドロフ眼研究所)

フィヨドロフ眼研究所では年に1度、ロシア全土を初め世界各地から屈折矯正手術に携わる医師を招いた総会が開催されています。

今年は10周年で約800名もの眼科医が集い、今回念願かなって初めて参加することができました!

フィヨドロフ眼研究所

左)念願のフィヨドロフ眼研究所の前でガッツポーズ

右)生前のフィヨドロフ先生の書斎。美術館のように壁一面に博士の写真(★印のところ)があります。 フィヨドロフ先生みたいに書類を読むポーズで写真を撮ってみました(笑)

フィヨドロフ眼研究所

写真上)フィヨドロフ眼研究所の総会で再会したマクドナルド先生。

ご夫妻は世界で屈折矯正手術分野の有名人、いつも夫(物理学者?)同伴でおしどり夫婦です。マクドナルド先生は現在、ニューヨークで眼科教授をされています。

ターニャはロシア出身の神戸クリニックスタッフです。ロシア語・英語・日本語がペラペラです。彼女なしではここにたどり着くことは絶対に不可能…

日本人がこの学会に参加するのは本当に珍しいようで、レセプションで「あなたたちはるばる日本からきたからVIPよ…」ということで、思いがけず無料で総会に参加させて頂きました。 ありがたくドル紙幣をポケットにしまいましたが、本当に申し訳ないので、そのあと手術機器が展示してある場所で、これはいいぞというオペ兵器を60数ドルで購入しました。

学会報告

学会報告の内容としては白内障手術が中心でしたが、レーシック(LASIK)でも積極的な(結構激しかったかも…)討論が行われました。

特に印象に残った発表は、Zレーシックでフラップを作るときに使われているFemtoLDVについての報告です。 FemtoLDVによるフラップ作成は術者のウデにもよるでしょうが、旧式のマイクロケラトームと同じくらい手術中の合併症が多いことがわかりました(フラップの紛失、小フラップ、破損フラップ)。

特に薄いフラップを作成しようとすると、中央の角膜実質面が敷石状になった症例には、驚きました(IntraLaseでは経験したことがないため) 。

安全性の高い正確な手術をするためには、こうした学会活動に参加して最良の方法をセレクトしていくことも私たち医師の使命だと思います。

その他、フィヨドロフ眼研究所のご紹介

IRIS Congress Hotel

写真左)学会期間中に宿泊したホテルは、IRIS Congress Hotelといってフィヨドロフ眼研究所のすぐ横にありました。 ホテル名になっている IRISは、日本語で虹彩(目の瞳孔の縮小・拡大を調節している部分)を意味しますが、ホテルの中央には、写真のように下から天井を見上げると、虹彩のような構造をしている吹き抜けが…あたかも眼球の中から外を覗くような錯覚になります。

 

写真中央)書斎にあったイラスト。真ん中にフィヨドロフ博士の似顔絵が描かれています。 まるで視覚のトリックを巧みに操った「だまし絵」のようです。

写真右)フィヨドロフ眼研究所の敷地マップ
大学くらいでっかい敷地にいくつもの病院棟が建っています。今回、手術室の中を撮影することができませんでしたが、天井懸架式の顕微鏡が 数十台あり、驚くほどの規模でした。

サンクトペテルブルク

ESCRS/2009年9月12日~16日 スペイン・バルセロナ

ヨーロッパ白内障屈折矯正手術学会ESCRSはレーシック(LASIK)を含む屈折矯正手術の最新情報満載のミーティングです。2009年の総会は、前年のWinter Seminarと同じスペインのバルセロナで開催されました。

発表演題:How to lessen the OBL when using IntraLase?

イントラレースでは、フェムトセカンドレーザーで気泡を作り、その連続が面となってフラップを作成することができます。
この過程の中で、OBL(Opaque Bubble Layer:不透過性気泡層)と呼ばれる気泡の集まりが発生することがあります。

フラップ作成時のポケットのサイズ位置や幅、深さを変えたり通常よりもソフトな圧着で試したり、出力エネルギー量などを下げることにより、結果的にOBLの軽減が可能であることが分かったため、そのテクニックについて報告を行いました。
この検証結果は、神戸クリニックの症例検討会でも報告し、最善の治療ができるように取り組んでいます。

症状1

症状2

写真上段:イントラレース発進後の画像。写真下段:エキシマレーザー手術顕微鏡下でフラップを挙上した像。(眼の表面にある白いものがOBLと呼ばれる気泡です)

症例1:右眼のフラップ作成中に気泡が生じたので、左眼では照射エネルギー量を下げました。
症例2:左眼のフラップ作成時に、気泡をフラップの切除面から逃がすために、ポケット呼ばれる空間の位置を変えました。

ポケットの写真

※ポケットとは:
イントラレースでフラップ作成時に生じる気泡をフラップの切除面から逃がすために、フラップ作成時につくる隙間のこと。

Raju先生と

ベルリンのシンボルのひとつである戦勝記念塔の写真

Raju先生は、アメリカ・バージニア州で教授をしている眼科医で、マイアミ留学時代の友人です。海外の学会に行くたびに、約束もしていないのに同じ会場で偶然に出会ったり(運命?!)、情報交換をする先生です。いつも「昔と違うインドを見せてあげたい!」とインドに行くことを勧誘してきますが・・・・なかなか機会がなく。。。

実話ですが、マイアミに留学していたときに、Raju先生夫妻に誘われラボのみんなと食事にいきました。その留守中に、住んでいた安アパートに銃を持った強盗に入られたハプニングがありました。もしその時にRaju先生と一緒に外食していなかったら今頃は・・・・・・Raju先生は、命の恩人でもあります。

ICFLO/2009年6月12日 フランス・ボルドー

ICFLOは、2年前から開催された新しい学会です。眼科医と、フェムトセカンドレーザー技術者・物理学者・メーカーを結びつけたとてもユニークなミーティングで、今回は2回目となります。

フランスのボルドーで開催されました。この学会では、フェムトセカンドレーザーを使用した治療方法について、屈折矯正手術だけではなく、角膜移植、白内障・老眼・緑内障などに対するアプローチの発展性をみる貴重な会でした。

演題を提出していましたが、学会から連絡がなかったため落ちたかと思っていました。学会場の受付で初めて抄録集みて、acceptを知り、そのときにはもう後の祭りで・・・・というハプニング学会でした。

ちなみに発表内容は、2009 ESCRSの演題と同じですので、この会で印象に残ったフェムトセカンドレーザーの報告を紹介いたします。

フェムトセカンドレーザーによるイメージング

いままで組織や細胞を診断するとき、固定切片つくったり染色したりして固定状態でしか観察することができませんでしたが、フェムトセカンドレーザーを使用することで生体のまま体の微細構造を観察することができるようになります。

例えばFS harmonic imaging microscopyが開発されています。特に眼球は網膜や角膜の微細な細胞の層構造は光透過性に優れているので生体のなかでよいサンプルとなっているようです。

角膜移植への応用

ドナーとレシピエントの角膜を移植する際に、フェムトセカンドレーザーを用いてより繊細な切開層やパターンをつくることができます。従来の移植に比べ、術後乱視の軽減や移植後の生着率の向上に役立つという報告がありました。このあたりのフェムトセカンドレーザーのソフトウエアの面でイントラレースが先行しています。

老眼治療への応用

●角膜にフェムトセカンドレーザーを当てる方法の紹介
フェムトセカンドレーザーを角膜内に輪状などパターンを作ることで角膜中央部を突出させる方法の紹介がありました。Femtecというマシーンを使うと、角膜にフラップを作ることなく同心円状に5つの輪状切開をすることで多焦点(マルチフォーカル)効果が得られます。

●水晶体にフェムトセカンドレーザーを当てる方法の紹介
水晶体にフェムトセカンドレーザーを当てることで調節の柔軟性を持たせ、近方視力を向上させる方法の紹介がありました。

緑内障、白内障手術への応用

緑内障の濾過手術をフェムトセカンドレーザーで行う方法についての報告がありました。強膜にあるパターンのスリッドをつくることで房水の強膜流出路を増加させる手術方法です。結膜に損傷を与えないため、濾胞形成不全や術後感染は生じないということです。また、白内障の前嚢切開(CCC)と混濁した水晶体をフェムトセカンドレーザーで細分化した手法についても報告がありました。

このようにフェムトセカンドレーザーを用いた治療の発展性を知ってからますます毎日がわくわくしています。

フランス・ボルドーの紹介

ボルドー大学の写真

ホルドー駅での写真

ボルドー大聖堂の写真

写真左)ボルドー大学
ボルドーは、ブルゴーニュと並んでボルドーワインで有名な町です。1441年に開学したボルドー大学を始め教育機関が多い町で、ヨーロッパ最大の学生町となっています。

写真中)ホルドー駅でのスナップ。せっかくの記念写真が・・・逆光の一枚

写真右)ボルドー大聖堂
ボルドーには、歴史的建造物群が多くあり、写真のゴシック様式の教会もボルドーを代表する建築物のひとつです。

ASCRS/2009年4月3日~9日 アメリカ サンフランシスコ

白内障手術、近視矯正、老眼矯正、緑内障手術などでは世界最大の眼科学会ASCRSですが、2009年はアメリカ・サンフランシスコで開催されました。高級デパートや老舗ホテルが立ち並んでいることで有名なユニオンスクエアのすぐ近くに位置するモスコンセンターがメイン会場となりました。

アメリカ・サンフランシスコの写真

発表演題: Early Results of conductive keratoplasty to Treat Presbyopia

老眼治療の一つであるニアビジョンシーケー(NearVision CK)は、角膜の外周にラジオ波をあてることで、角膜外周のコラーゲン組織を熱の力で収縮させます。こうすることで角膜の中心に触れることなく、近くの視力を向上させる治療です。

2年前までは、瞳孔中心を軸に同心円上7ミリ8スポットで治療を行っていましたが、この方法では治療後6ヶ月の治療効果の変化を追ったデータから、術後から比較的早い時期にニアビジョンシーケー(NearVision CK)効果の低下がみられることが分かりました。さらに、ニアビジョンシーケー(NearVision CK)の効果の改善方法について、中心角膜厚やスポットの数など、 治療結果の予測を立てることについて言及しました。

等価球面度数の経時変化のグラフ

左のグラフから、8スポットでは効果が弱いことがグラフから分かります。現在神戸クリニックでは、ニアビジョンシーケー(NearVision CK)の効果(コラーゲンベルトの効果維持)を考え、テンプレートを用いた16スポットで治療を行うことで、より高い精度の治療成績を得ています。

サンフランシスコの写真

アメリカ・サンフランシスコの写真

写真左)サンフランシスコと言えば、ケーブルカー!!
1873年開業の世界最古のケーブルカーと言われ、街中には、写真のようなケーブルカーがベルを鳴らしながら 颯爽とダウンタウンとフィシャーマンズワーフを走ります。バスのステップに乗客が乗っているところが、アメリカならでは!ですね。日本ならすぐに捕まってしまいます・・・。

写真右)夕刻のフィッシャーマンズ・ワーフ。
フィッシャーマンズ・ワーフは、イタリア人漁師の船着場として栄えた場所で、ピア39という桟橋にあります。当時の船着場の賑わいがそのまま伝わってくるような各種ショップ、レストランが並んでいる場所です。

角膜カンファランス/2009年2月19日~21日 ザ・リッツ・カールトンホテル大阪

第33回目となる角膜カンファランスが、大阪・梅田にある高級ホテル ザ・リッツ・カールトン大阪で開催されました。

発表演題:老眼矯正手術であるconductive keratoplasty(CK)の成功率と満足度)

老眼矯正を目的としたニアビジョンシーケー(NearVision CK)の成功率と満足度について報告しました。対象は当院でニアビジョンシーケー(NearVision CK)治療を受けた103名(男性53名、女性50名)、平均年齢52.4歳(38歳~65歳)。ニアビジョンシーケー(NearVision CK)の手技は、瞳孔中心を軸に同心円上に8ミリと7ミリ径16スポットに対しラジオ波を当て熱で角膜を変形させました。(下記シェーマー参照)

治療後、一年間かけて治療成績と満足度を調べました。

老眼治療の方法

手術前

→

手術後

この結果としてニアビジョンシーケー(NearVision CK)の効果は6ヶ月以上維持され、患者の近方の見え方に関して満足が得られたのは86.4%でした。さらに初回の治療で見え方に不満足の症例に対して追加のニアビジョンシーケー(NearVision CK)を行うと、ほとんどの方が満足したという結果が得られました。

神戸クリニックでは、日常生活に即したライフカードを使った(J値)で老眼の進行具合を評価しています。多くはJ7~J8(下記の目安を参照)が老眼治療の対象で、治療後にJ1~J3まで見えるようになると、ニアビジョンシーケー(NearVision CK)が有効であると評価しています。J1~J3まで見えるようになった患者さまから「近くが眼鏡なく見えて満足している」と喜んでいただいています。

◆J値が示す文字の大きさ(目安)

J8:パソコン画面の文字
J7:雑誌や新聞記事の文字
J5:商品バーコードの表示文字
J3:携帯電話のメールなどの画面文字
J2:契約書・薬瓶などの説明文字
J1:雑誌・カタログの小さい文字

ザ・リッツ・カールトン大阪

ザ・リッツ・カールトン大阪は、大阪を代表する高級ホテルで、 大阪の中心地に位置しながらも都会の喧騒を忘れさせる、落ち着いた雰囲気のエレガントなホテルです。

アクセスも便利であることから、眼科に関する学会だけではなく多くのセミナーが開催されるホテルでもあります。 神戸クリニックのレーシック(LASIK)無料説明会も、このホテルで開催されています。軽食付きですので、レーシック(LASIK)にご興味のある方は休日のショッピングの合間など、お気軽にお立ち寄りいただけます。

LASIKについて直接スタッフに聞きたい方

神戸クリニックが導入しているレーシック(LASIK)については、皆様をお招きして開催する無料の説明会でもご案内しています。お気軽にご訪問いただけますので、是非ご参加下さい。

無料説明会

ご自分の目に最適な治療法が知りたい方

神戸クリニックでは皆様に最適な術式をご案内するために、無料の適応検査を行っております。様々な術式がございますので、目の健康診断も兼ねて、お気軽にご参加下さい。

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